「夏みかん」19990918
鳶(とんび)は湘南地方によくいる鳥で、
とても高いところをいつも飛んでいる。
子供のころから、鳶を見上げては、
憧れていた。あの鳶のように、
自由に生きられたなら。
近年鳶に餌付けをした観光客のために
悪評高い鳶ですが、好きだ。
空から見たらきっと
僕たちの生き方がとても滑稽に見えるでしょう。
あなたにはすべて見えているのでしょう?
僕たちの壁の天辺も。
ほんとうに知らないで、
「お前は本当に楽観的だな。」と
言ったひとがいた。
これは仮面。そういう仮面。
僕の仮面を仮面とわかった上で
そう呼ぶならじゃれるように笑えただろうか。
僕の仮面を仮面と知らずに
心底そう言ったので、嘲笑ってしまったよ。
・・当時はね。
言った本人も気がついたようなのでもういいけど。
親友がいた。
彼女さえいればなにもいらなかった。
短大に入って世界が虹色に変わった。
生まれて初めて、死ぬのが怖いと思った。
ここを、失いたくない。
なんて幸せなんだろう、と。
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